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Webサイトの売却、買収時のリスク理解と成功へのチェックポイント


2022年6月1日 M&A

Webサイトやアフィリエイトブログは、検索エンジンの発達を背景に、事業としての収益獲得やプロモーションの場として今日の地位を確立しています。

そのような中、WebサイトM&Aも昨今は活発に行われています。中には数億円以上の買収価格をつける事例も多く発表されており、今後も活発に取引されるものと予測されます。

WebサイトM&Aは、そのビジネスモデルの特性から、成功に導くために特別な配慮が必要です。今回は、一定規模以上の取引(概ね数千万円以上の譲渡価格)を念頭に、M&AやSEOなどのフィールドに横断的な知見を持つLBP堺が、取引におけるリスクと成功確率を高めるポイントを解説します。

 

1. Webサイトビジネスの全体像

ビジネスWebサイトは、検索エンジン等を経由した集客流入を通じて、広告掲示やプロダクト販売等で収益を獲得します。

流入経路の比重はサイトごとに差はあれども、検索エンジンに多くの割合を依存しているサイトが大半です。

中にはSNSなどに力を入れているサイトも存在しますが、不特定多数に対して十分な集客を得ようとすれば、検索エンジンは重視せざるを得ません。

自分のサイトに集客したサイトオーナーは、独自プロダクトの販売や広告をするケースもあれば、アフィリエイトと呼ばれる広告代理店が提供する成果型報酬広告を使用するなどして収益を得ます。

いずれにしても、ビジネスWebサイトは集客が最大のミッションであり、その主要経路であるSEO(検索エンジン最適化)施策は欠かせないものとなっています。

Webサイトを買収する際は、このような独特なビジネスモデルに起因するリスクを理解する必要があります。

 

2. Webサイトの売却、買収時に把握すべきリスクとは?

Webサイトのビジネスモデル特性に起因して買収後に生じ得るリスクを解説します。なお、本セクションは買収側に立った記載にしていますが、同様にWebサイトの売却を検討される方も、リスクを認識し、対応策含めて十分な準備を行うことで、より高評価での売却が期待できます。

① SEO効果の剥落リスク

多くのWebサイトは、その収益力の多くを検索エンジン(Google、Yahoo!、bingなど)に依存しています。特にGoogleのトラフィックベースシェアが7割以上を占めており、Google検索で如何に上位に表示されるかは、Webサイトにとって重要KPIと言えます。

 

図:日本における2021年の検索エンジンシェア(デスクトップ)
データ出展:https://gs.statcounter.com/search-engine-market-share/desktop/japan

 

SEOの難易度は、ここ数年で特に上昇しています。また、現時点で上位表示されている場合でも、同じ検索ワードでも、ある日急に順位が落ち、サイトの収益力が急落する事態も発生します。

このようなSEO効果の剥落や難易度上昇の背景は、次の通りです。

◆ 検索エンジンのアルゴリズム変更の影響

検索エンジンは日進月歩で技術革新を続けています。また、その中でサイトごとの評価基準も頻繁に変化しています。

特に数ヶ月に一度単位で実施されているGoogleの「コア・アルゴリズム・アップデート」は、実施前後で検索順位に大幅な変動をもたらします。これにより、それまで上位にいたサイトが一気に圏外まで落ちるといった事態も発生します。

昨今のアルゴリズム高度化に伴い、小手先の対策により検索順位を短期間で順位を戻すのはほとんど不可能です。こうなってしまうと、中期的な収益性の低下は避けられません。

◆ SEOの競争激化

検索エンジンの発達とWebサイト収益化の基盤整備が進み、SEOによる収益獲得競争はあらゆるキーワードにおいて加熱しています。

このような背景の下、検索上位を取る難易度は着実に上昇しています。上述のような検索順位低下に対する打ち手が乏しい要因の一つとも言えます。

 

② アフィリエイト広告の終売・撤退・条件変更リスク

アフィリエイト広告はプロダクトを持たないサイトオーナーにとって重要な収益源ですが、その撤退や条件変更の権限は広告主側にあります。

例えば特定のプロダクトが販売終了になる、Web広告予算を打ち切る、予算を半分にするといったことは常に起こり得ます。

そのプロダクトの紹介報酬の比重が高かった場合、他で収益補填することは容易ではなく、収益性が毀損することとなってしまいます。

 

3. Webサイトの売却、買収を成功させるチェックポイント

 

このような収益性低下のリスクを回避し、WebサイトM&Aを成功させるポイントを解説します。

① SEO効果の維持可能性を高める施策を、専門知識に基づき買収前に検討する

SEOに関する誤ったPMIは、それまでのSEO効果を無にし、収益力を低下させてしまうリスクがあります。

買収者として、検索エンジンからのトラフィックの維持可能性を高めるPMIの方向性を紹介します。(尚、ここに上げる施策は代表的なものであり、実際に取るべき施策はサイトごとにチューニングする必要があります。)

◆  E-A-T(専門性、権威性、信頼性)を維持できる統合を行う

Googleはコンテンツ評価指針の一つとしてE-A-T(Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、 Trustworthiness(信頼性))を挙げています。(以下、総称して「権威性」といいます。)

これはサイト運営者(運営体制)自身のバックグラウンドや専門知識を検索エンジンが順位に反映していると言えます。

M&Aは体制変更が伴うのが常ですが、サイト評価は旧体制に基づいて評価されているため、安易な現状変更はサイト評価の急落に繋がる可能性があります。

買収者としては、前任者をサイトと共に引き継ぐか、新たな担当者が同等の権威性を発揮できる教育を行うなどの対策が求められます。

また、前任者が、特定の外注ライター等を重用している場合も多いので、そのコネクションも引き継げるように調整を行いましょう。

◆ 可能であれば売り手との継続協力体制を整え、売り手の一定期間の競業禁止規定を譲渡契約に盛り込む

上述の通り、Webサイトの収益性は個人的な権威性に紐づいているケースも少なくありません。よって、交渉相手となる売り手自身もサイトの収益性を構成する重要な要素であり、M&Aにおいてどのように取り扱うかはポイントとなります。

最も好ましいのは、その後の運営にあたり引き続き編集者として協力体制を組むことです。売り手も継続的に運営に参加しつつ、買収者が持つリソースを組み合わせて収益拡大を目指すのが最も好ましい形の一つといえるでしょう。

また、譲渡契約(SPA等)で競業禁止条項はできるだけ導入するべきです。さもなければ、買収したサイトの新たなライバルが早晩出現し、PMI上の脅威となる可能性があります。(尚、検索1位か2位かでクリック率は2倍以上のパフォーマンスの差が出ることが統計上出ています。新たなライバルを1件でも生まないことは施策上極めて重要です。)

検索順位 CTR
1 8.2%
2 3.8%
3 2.4%
4 1.6%
5 1.1%

検索順位とCTR(クリックスルー率、クリック数÷ビュー数)の関係
データ出展:seoClarity 2021 CTR Research Study

◆ 買収のプレスリリースがWeb全体に与える影響に留意する

E-A-Tを測定する主要な要素として「被リンク」(他サイトからリンクを貼られている数、内容)と「サイテーション」(名称等の言及)が挙げられます。

これらの要素は、プレスリリースによってWeb全体に波及し、大幅な構造変化が生じる可能性も考えられます。

買収後の運営組織体制や公表内容等に関しては、その話題性や公表方法等に関してあらかじめ専門家に確認することをおすすめします。

◆ 継続的なサイトのアップデート体制を構築する

SEOは、検索エンジン利用者の利便性の観点から、新しい情報を高評価する傾向があります。

したがってWebサイト買収は、買収後にサイトを放置すれば収益が上がるのではなく、継続的なメンテナンスを要するビジネスと理解する必要があります。

メンテナンスのためには、上述の通り権威性を維持向上できるコンテンツを追加できるメンバーや組織体制が必要です。どのようなサイトメンテナンス組織を構築するか、買収前に検討を行うことが求められます。

◆ サイト名は原則的に変更せず使用するほうが良い

サイト名に関連するSEOの代表的な評価要素として、サイテーション(名前の言及)と指名検索(サイト名での検索トラフィック量)が挙げられます。

一定の成果が上がっているサイトは、その名称自体がWeb上に浸透しており、その状況がSEOにも反映されているのです。

通常の企業であれば、買収後にその名前を変更するといったこともよく行われますが、SEOが関連する分野では、上記の背景から旧称をそのまま使った方が安全といえます。

(検索エンジン側で新旧名称を同一と判断される可能性もありますが、コントロール不能であるため、余計な懸念要素を生じさせるべきではないという判断です。)

 

② バリュエーションの際、権威性の時間的変化、技術進歩の両面を考慮する

上述の通りSEOには権威性維持が不可欠であり、その評価基準は徐々に変化しています。また、Webを取り巻くテクノロジーは進歩目まぐるしく、例えば8-10年といったスパンでの継続的な収益獲得は見込みにくいのが実情です。

技術面で例を挙げると、直近ではITP(Intelligent Tracking Prevention)と呼ばれる個人追跡防止機能が大手ITプラットフォームにより導入され、一時アフィリエイト広告の成果追跡が困難になるといった事象がありました。

この折りは幸いにして広告代理店の技術対応によりアフィリエイト広告が引き続き運用可能となっていますが、このようにWebサイトの収益源である技術にいつ革新が起きるかを予測するのは困難です。

バリュエーションにおいては、割引率を高めに設定して短期的な収益獲得を目指すか、集客維持のための追加施策投資を見込むべきでしょう。

 

③ 買い手の既存事業との相互送客によるシナジー発揮を検討する

このように、Webサイト単体では中期的スパンを超えた回収期間を見込むバリュエーションは現実的ではありません。

そのため、短期的な買収効果を少しでも増大させるため、買い手がもつ既存事業とのシナジーは最大限に検討を行うべきです。

特に領域が近しい分野での相互送客が実現すれば、買収の価値を最大限に発揮し、売り手の要求水準を満たすバリュエーションにも届く可能性も考えられます。

 

④ 特定アフィリエイト広告への依存度を把握し、多角化や広告代理店への確認を行う

アフィリエイト広告に収益依存しているサイトは少なくありませんが、その中でも特定の案件や広告主に比重が寄っている場合、その広告対象のプロダクトの終売や広告掲示終了などにより収益の源泉を失う恐れがあります。

対策として、サイト価値を損なわない形での多角化(既存プロダクト案件との親和性等の考慮が必要)をPMIとしてあらかじめ企画するのは一案です。

あるいはアフィリエイト広告を提供する広告代理店などに今後の広告見通しの確認を行うなど対策を行うべきでしょう。

3. WebサイトのM&A事例

① 比較サイトの買収事例

2020年に株式会社じげんが株式会社ベーシックより「フランチャイズ比較.net」を含む4サイトを買収しました。買収価格は12.5億円と公表されています。

比較サイトは、アフィリエイトを主な収益源とするWebサイトの代表的な類型です。個別のプロダクトを比較した上で読者にメリットを伝え、ページ上のリンクから購入してもらうことで成果広告報酬を得ています。

このようなサイトは、商標名や商品名を主な検索ワードとしたSEOが集客の中心です。そしてその肝である検索上位の位置は、運営者のその商標名や商品名に対する知見や専門性が評価された結果です。

買収にあたってはその権威性を損なわないように、担当者を引き継ぐか、新たな担当をつけてその分野の知見を基礎から習得させるのが安全です。

 

② 就職・転職サイトの買収事例

ポート株式会社が2020年に株式会社リブセンスが運営する、就職や転職関連のクチコミ情報を提供するWebサイト「転職会議」を買収しました。買収価格は15億円と公表されています。

ポート社は元々新卒向けの情報サービスを提供する企業であり、買収対象のWebサイトとの親和性が期待できます。

実際に同社から発表されている説明資料によると、既に同社が保有しており就活生に就活ノウハウを提供するメディア「キャリアパーク!」との組み合わせによりユーザー獲得面の拡大を図ると説明がされています。メディア同士の相互送客によるシナジー効果を企図していることが読み取れます。

ポート株式会社 就活口コミ情報サイト「就活会議」M&Aの目的について
出展:ポート株式会社 就活口コミ情報サイト「就活会議」M&Aの目的について

このような集客面でのシナジーが想定されるWebサイト買収は、短~中期での収益回収が期待できるため、SEOリスク等を勘案しても成果が期待できるM&A事例といえます。

また、検索エンジンが考慮する権威性の面でも、近隣分野のM&Aはサイト評価にとってプラスに作用する可能性も十分考えられます。

 

4. 最後に ~Webサイトの買収には、専門家のアドバイスが不可欠~

Webサイト買収に際しては、その特殊なビジネスモデルの理解と、SEOへの影響を予見した各種対策が不可欠と言えます。

当社では、このようなトランザクションにおける難易度が高い案件でもご満足いただけるようなサービスを用意しております。

もし現在Webサイトの売却や買収をご検討の場合、ぜひ弊社問い合わせフォームよりご連絡ください。

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LBP堺(アライアンス・パートナー)

国内大手システム・インテグレーターにおけるIT関連業務の経歴を経て、LBPに入社。
LBPでは仲介、FA、財務デュー・ディリジェンスの各業務で実績があり、過去経歴を生かしたIT・技術者派遣業分野におけるM&A案件に強み。
2020年より独立し、現在はアライアンス・パートナーとしてLBPと協業するとともに、独自でITプロダクト開発と金融財務に関するコンサルティング及びWebメディア事業を運営。

運営メディア:https://docs.sakai-sc.co.jp/

会社ホームページ:https://www.sakai-sc.co.jp/

<主な事業領域>
・IT業界
・人材派遣業界

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