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事業の売却を検討する際のポイントとは?


2023年11月30日 M&A

事業の売却を検討する際のポイントとは?

これまでのコラムでは、「後継者問題(※1)」や「休廃業問題(※2)」など中小企業の経営者が抱える課題について触れたうえで、会社や事業の売却における「シナジー効果(※3)」について売手/買手各々の目線で触れてきました。
また、前回のコラムでは「会社売却を検討する際のポイント(※4)」として、その目的やメリット/デメリットについて説明を行いました。

本コラムでは、M&Aを活用した会社売却手法のひとつである「事業譲渡」について、概要や検討のポイントについてLBP玉積が解説させて頂きます。

(※1:参考コラム)中小企業の後継者不足とその解決策→

(※2:参考コラム)休廃業問題~あきらめ型休廃業の増加~→

(※3:参考コラム)会社売却におけるシナジー効果とは?→

(※4:参考コラム)M&Aによる会社売却を検討する際のポイントとは?→

1.事業譲渡とは?

事業譲渡とは

会社の売却における代表的な手法には次の2つが挙げられることについて、以前のコラムでも解説をしてきました。

①株式譲渡 … 会社の株式(=経営権)を第三者に売却すること

②事業譲渡 … 会社の特定の事業等を第三者に売却すること

参考コラム:会社売却におけるシナジー効果とは?→

 

株式譲渡と事業譲渡の違い

この2つの手法の大きな相違点は、売却の対象が「株式」となるか「事業」となるかという点となります(図A)。

また、事業譲渡に類似する手法のひとつとして「会社分割」が挙げられます。
これは「会社の事業を切り離す→引き渡す」という点では同一である一方、会社法上の組織再編行為に該当するか否かという点において相違しており、資産/負債の承継範囲が「包括的」か「個別契約で特定ができるか」という違いがあります。

事業譲渡と会社分割については、売手の戦略的な目線においては似通ったケースが想定されますが、本コラムにおいては株式譲渡との違いを明確にするため、事業譲渡に絞って説明します。

 

2.事業譲渡の目的

事業譲渡の目的

2021年における国内企業同士のM&A件数(3,000件超)のうち約1割強が事業譲渡を選択しているとされています。

では、M&Aにおいては様々な手法がある中で、どのような場合に事業譲渡が選択されるのか、主な観点について見ていきましょう。

①業績不振事業の切り離し

中小企業が事業譲渡を検討する大きな理由のひとつとして、業績不振 or 不採算事業の売却が挙げられます。

中小企業の多くは、ヒト・モノ・カネのリソースが限られていることが多いとされています。
近年の外部環境の変化や業界再編等により、これまでの優位性や競争力を確保することが難しくなった結果、自社リソースによる成長の限界や不採算の改善が難しくなるといった事例は枚挙に遑がありません。

市場自体が継続して存在している場合、競合他社含めその事業領域におけるプレイヤーを買手とすることで、事業部門を閉鎖する等のリスクを除外することが可能となります。

②ノンコア事業の切り離し

自社におけるコア・ノンコア事業を整理したうえで、リソースの「選択と集中」を推進する目的で事業譲渡が行われるケースも存在します。

これは、業績不振事業の切り離しと比較すると、より戦略的な経営判断のもとに行われることが多いとされています。
コア事業が複数の子会社や事業部門に跨る場合、既述の会社分割などを用いた組織再編行為を行ったうえで、コア・ノンコアを整理することも考えられます。

③成長分野/既存事業への投資余力の確保

事業譲渡による対価を、自社が今後成長していく(若しくは成長させたい)事業領域や既存事業に対し、再投資(=成長/戦略的な観点での投資)を行う資金に充当するという観点が挙げられます。

中小企業において、資金確保(資金繰り+成長に向けた投資余力)は従来より大きな経営課題のひとつであることに加え、足元では新型コロナウイルスによる影響や外部環境の変化などにより、積極的な投資に向けた資金確保の難易度(資金調達余力)が高まっているとされています。

このような状況下、生存戦略のひとつとして事業譲渡を選択するケースも多く存在しています。

 

3.事業譲渡のメリット/デメリット

事業譲渡のメリット/デメリット

では、具体的に事業譲渡によるメリット/デメリットにはどのようなものがあるでしょうか?

事業譲渡のメリット・デメリット

売手目線で見た場合、「選択」の自由度が高いというメリットがある一方、「債務が残る可能性」や「手続きの煩雑さ」というデメリットが挙げられます。

加えて、売手/買手ともに留意するべき点として、「どの資産/負債を譲渡(譲受)するかにより価値が大きく変動する」ことや、「対象資産/負債の認識に相違がある場合、後々揉める可能性が高い」ことについても理解しておく必要があります。

この認識の相違を回避する実務上のひとつのポイントとして、検討時点とクロージング時点の間で大きく変動する営業債権債務については、譲渡日前後で切り分けを行うなどの対応も必要となって来ます(=譲渡日まで実際に引き継ぐ資産/負債が確定しない)。

また、移転する資産負債に消費税相当額が含まれている場合(例:売掛金等)、その該当税の支払い主体は売手になるなど、事業譲渡後の売手に与える影響を細かに検討する必要があります。

当然にして、相手方があってはじめて成立するものですので、「選択」の自由度が高い中で、いかに「合意可能な譲渡範囲/条件とするべきか」、「事業譲渡後の売手(=自社)がどうなっているか」という点を考える必要が出てきます。

参考コラム:会社売却におけるシナジー効果とは?→

 

4.事業を相場より高く売却するコツ

4. 事業を相場より高く売却するコツ

基本的な考え方は「M&Aによる会社売却を検討する際のポイントとは?」でも触れたように、「買手の検討ポイント」を押さえたうえで、売手として「より良いタイミング」で「能動的に売却後の将来性を検討・提示」し、「多くの買手から条件を得る」ということに他なりません。

買手が想定している以上のシナジー効果について売手としても検討を行い、売却対象事業の今後の成長性について論拠を持って説明することが大きなポイントとなります。

また、株式の売却と異なる点としては、売却対象が「会社の株式」ではなく「会社の事業(特定資産/若しくは負債を含む)」となることであり、売手が検討すべきポイントとして、「売却する事業」と「売却しない事業(法人格)」の両面において、より事業譲渡後の将来に対する見通しを明確にしていく必要があるということになります。

 

5.最後に

事業の売却を検討する際のポイントとは?

中小企業の経営者の多くは、従前より、創業家として会社や地域の雇用を守ってきたという強い想いがあり、これは誇るべき実績に違いありません。

然しながら、中小企業を取り巻く環境が大きく変化していることも事実であり、様々な課題解決策のひとつとして、事業譲渡を選択するケースがあることもまた事実です。

事業譲渡では、法人格を残しつつ選択と集中による成長の機会を創出することも可能であり、改めて自社の経営戦略を検討する際の選択肢のひとつとして検討されてみてはいかがでしょうか?

LBP玉積

玉積 範将

大手都市銀行にて約11年間に亘り、担当先企業の資金調達/事業成長支援(約5年)及び、
自行の財務企画/予算・投資管理/コスト削減(約5年)、人事研修企画(約1年)に従事。
その後事業会社にて、グループ会社全体のバイサイドM&A戦略/実務に従事。
また、運輸交通/不動産/専門商社を始めとした多様な事業分野において事業・部門戦略/再生・成長計画の策定に関与。
LBP入社後は、下記事業領域を中心としたM&Aに加え、主に東海、関西及び中四国エリアのカバレッジを担当している。

<主な事業領域>
物流業界(貨物、旅客、MaaS関連(インフラ/IT等))
設備工事業界(電気工事、電気通信工事、管工事)

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